グレショーをこよなく愛する私が、自分的「神演技アワード」を書いてみた件。
グレショーをこよなく愛する私が、自分的「神演技アワード」を書いてみた件。
毎回違う演出家さんと毎月ひとつの舞台を作るというハードかつ贅沢で斬新な番組「THE GREATEST SHOW-NEN」、通称「グレショー」。
こんな素敵な番組に、Aぇ! groupのおかげで出会えたこと、Aぇ! groupを起用してくださったこと本当に嬉しいです。
放送当初からどの作品も大好きですが、とくに私の好みに刺さった作品・役・台詞や場面についてつらつら語っていきます!
※番組スタッフさんへ。いつか全公演のDVD-BOX出してください。必ず買いますので何卒。
https://www.asahi.co.jp/the_greatest_show-nen/
【とくに好きな作品】
①HAPPY ENDie/壱劇屋
https://www.asahi.co.jp/the_greatest_show-nen/archive/220903.html
内容:同じシーンを何度も繰り返すタイムリープミステリー。いつもコンビニで犯人に刺されてしまう親友のユウキを助けようと主人公ジンタは時空の狭間を行き来して、「ユウキが死なないパターン」を探し続ける。しかし毎回必ず同じ場面でユウキは死ぬ。そして犯人の動機は「立ち読みを注意されたこと」と「モトムからの依頼」両方。両方とはどういうことか?そして次々と明らかになっていく物語の矛盾。なんと実はジンタたちは謎の男(正門)が執筆中の「物語」の登場人物だった。何度も同じことが繰り返されたり、辻褄が合っていなかったりするのは、筆者が「物語を書き換えた」から…という話。
SF好きにとって本当にたまらない作品だった。物語が入れ子構造になってるのが面白くて、大好きすぎて毎回2,3回は見返して考察するのが本当に楽しかった公演。
それに加えて、初挑戦のパントマイムや登場人物たちの役割がとにかく濃い。台詞ひとつひとつにまで伏線が張られた、見応えたっぷりの公演。
・1話冒頭で不協和音が流れる中正門くん演じるロングコートの男が登場人物たちを操るようなシーン。まさに「著者」が「物語の人物を操る」概念を形にしたシーン。これ、後々意味がわかったとき震えたな。
・モトムの依頼によって何度も何度も同じ場面でユウキを刺し続ける犯人役の大晴。「もう嫌なんだ。何度も何度も最悪の感触を味わって…真に怖いのは…慣れることだ」と怯えながら話す犯人、「なぁ、今回も頼むよ、あいつ殺してくれよ!!!」と叫ぶモトム。冷徹なモトムとのたうち回る犯人の図、最強に最悪な地獄絵図だったな…手を震わせ、目を見開いて苦しみを訴える犯人の演技をする大晴と、依頼人としての冷静沈着かつ冷徹な姿とユウキへの優しい眼差しを使い分けた末澤さん。今でも忘れられない。
・これは私の推測だけど、モトムがユウキの幼馴染から登場人物Aに成り下がったことによってジンタを殺したいほど憎んでいたの、本当にただの幼馴染だったのか?モトムはユウキに幼馴染以上の感情があったのでは…
・そして欠かせないのが晶哉演じるユウキの存在。ユウキを演じるにあたって「視聴者が可哀想と思うような」「愛されキャラ」になるように工夫してたみたいだけど、大成功だったよ…現に私は、「痛いよ…」と何度も刺されて苦しむシーンのユウキを見るのが辛すぎて、そこだけはリピートできなかった
・ラスト、物語が完成して登場人物たちは筆者の推敲による「繰り返す苦しみ」から解放される。しかし最後に残された筆者(正門)の台詞「役が勝手に幸せになってるんじゃないよ。俺を置いてさ…こっちはまだ続くっていうのに」とは?あくまで私の推測だけど、これは筆者もまた別の物語における「筆者」という登場人物なのでは?物語は3重構造?それもまた逃れ得ない運命…
②美しい人/劇団とっても便利
https://www.asahi.co.jp/the_greatest_show-nen/archive/220903.html
内容:政府は社会の活性化のため、ホームレスを「美しい人」と名づけ収容し見世物にするという狂った政策を打ち出す。政府の組織に染まり、成り上がるため努力するゴロウと、政府に疑問を感じているジュウロウ。政府に刃向かった結果ジュウロウ自身も檻の中へ。幼馴染のコウのおかげもあって、ジュウロウは政府に反発した勇者として檻の中で崇拝されるようになる。檻の中で団結した「美しい人」たちは、自分たちの国を作るべく檻からの脱出を試みる。しかし足を怪我したジュウロウは連れていけない。美しい人たちは、足を怪我した彼を「自由な人」と名づけ檻に収容した…
こちらもまた考察が止まらなかった作品。
社会における人間の愚かさや出世欲、信仰心などを皮肉に描いた、最高に風刺が効いた作品で好きだった。
・ホームレスを「美しい人」と名づけ、足を怪我した人を「自由な人」と名づけるというなんとも皮肉なネーミング。足が不自由になったジュウロウを「自由な人」と名付け施設に収容する元「美しい人」たち、無意識に政府がやったことと同じことをしてるの怖いね…自分たちは散々苦しんだのに、同じ過ちを繰り返す…こうやって苦しみの連鎖だけが続いていくんだね、皮肉です。きっと、今度は「自由な人」たちが増えていって、反乱が起きて、同じ歴史が繰り返されるんだね
・ジュウロウが政府に刃向かったとき、ゴロウ(大晴)の、葛藤の末出世欲に負けて狂ったように兄を撃つ時の表情、「よくやった」と上層から褒められた時の恍惚とした表情、本当に引き込まれた。大晴は本当にこういう「狂った演技」がうまい
・ジュウロウが檻の中のコウと心を通わせるシーン、ゴロウに撃たれて苦痛に悶えるシーン、コウの思いに涙を流すシーン…あぁ、やっぱり末澤さんの演技が好きだなと心から思った。表現が本当に繊細…物理的に檻に入れられても必死で生きようとするコウと、見えない檻の中で自分を飼い慣らしていたジュウロウ…2人のデュエットが本当に美しくて、気がついたら涙が出ていた
・ジュウロウを過剰に崇拝する美しい人たちが明らかに異常で怖かった。宗教的な何かに染まりおかしくなっていくジュウロウも見てられなかった。
・政府は現実から目を背けてどんどん過激になり、美しい人たちは宗教的な結束を見せる中、もう最後の希望はゴロウしかいなかった。ゴロウには気がついてほしかったな、「狂っている政府」と「おかしくなっていくジュウロウ」に。
・何も考えていない総理と、出世のことしか頭にない政府組織の人たちの張り付いたような笑顔もよかった。あと個人的に、正門くん演じる倒産した社長のとぼけっぷりが好きだった笑。「君、それには社長の印鑑が必要でね…」「社長、もう会社は倒産したんですよ!」ww
どの作品も大好きだけど、この2作品に関しては本当に最高傑作だと思っています。
とにかく物語に引き込まれたことと、登場人物全員が魅力的だったこと、伏線が多く毎週考察が楽しかったことが選出理由です。
【とくに好きな役】
★末澤
・モトム/HAPPY ENDie
→悲しみ、憎しみ、狂気、怒り、全てを繊細に演じ切った素晴らしさ…
・ガラスの水族館ゆうし/大暴力
→DV役がひたすら刺さりました…
・三沢さん/アリーズ
→「ウーパールーパー?!(高音)」という伝説の名言を残した彼女が好きです、可愛い
・ジュウロウ/美しい人
→葛藤、苦痛、涙、歌声…全てが良い。正義感に溢れまっすぐだった人が、徐々に「美しい人」に染まって狂っていくところまでも文句なしの神演技。
・ワッサー小池/幕末
→これはインパクトが強すぎる笑。ネーミングセンスがあまりにも光っている(そして確かここの名前はアドリブ)。あと強盗役も好きです。
★福本
・犯人/HAPPY ENDie
→私がグレショー史上1番好きな役。大晴が覚醒した瞬間を見た。普段明るい人が狂った役をやる怖さ。最初は狂気だけかと思いきや、絶望感や辛さも感じさせ、終盤には可哀想な運命とすら思わされた神演技。
・ハマチ師匠/スタンダップ
→これまたハマり役。大晴ということを忘れるくらい、師匠でしかなかった。話し方歩き方、研究を重ねたことがわかる。
・君の剥製/大暴力
→元カノの未練を今カノに重ねて再現しようとする気味悪さとサイコな感じがうますぎ。
・沖田総司/幕末
→殺陣での華麗な剣捌きもビジュアルもとにかくカッコよくて毎回惚れてました、完全に沖田様ファンでした、結婚してください
・ゴロウ/美しい人
→その素直さやまっすぐゆえに徐々におかしくなる様がハマり役だった。大晴の素直な人柄が役にとても生きていた
★正門
・謎の男①/HAPPY ENDie
→出番こそ少ないものの物語の「枠組」は彼がいたからこそ表現されたと言っても過言でない。重要な役をやりきったスゴさ
・謎の男②/おしりと御飯
→正直どんな立ち位置だったか記憶にないのに(おい)、派手な衣装を身に纏い叫ぶ姿だけなぜか強烈に記憶に残ってる。とにかくインパクトがはんぱなかった。
・タダシ/霊霊
→高音の「なぁんでやねん!」とかギャグとかやったかと思えばサイコな一面も…謎である
・坂本龍馬/幕末
→坂本龍馬×沖田総司の殺陣は圧巻。めちゃくちゃ強いけど、性格は明るくひょうきんな龍馬を丁寧に演じていた
てか正門くん他にもいくつも謎の男やってるんだよな。演出家さんたちがこぞって謎な役を割り当てる理由聞いてみたい、面白そう
★佐野
・ユウキ/HAPPY ENDie
→晶哉にか弱い役をやらせたら右に出る者はいない。それを体現した役。名脇役とはこのこと。
・コウ/美しい人
→か弱い役②。いわずもがな良い。さらに、ミュージカル経験のある彼の経歴が存分に発揮された役。
・ゆうや/鬱憤
→か弱い役③。感染症にかかって不安に襲われ、でも恋人には力なく笑う姿がなんとも苦しい。
・百手/幕末
→自他とも認めるほど努力が詰まった役。それまで晶哉は優しい役が多い印象だったから、アグレッシブな土方の役はとても見応えがあった。
★小島
・恭平/スタンダップ
→不仲な感じをリアルに演じていて良かった。絶妙に嫌な奴なのがとてもうまかった
・花魁/幕末
→男を魅了する艶やかな振る舞い。しなやかな動きは本当に苦労しただろうな。沖田と坂本の正体を知っていながら「知らないふり」をする強さ。
★リチャ
・うさぎ/アリーズ
→多くの個性的な役をやってるリチャの配役でなぜか1番印象的だった。リチャのダンススキルがうさぎの軽快なダンスに活きすぎていた笑
・ルンダ/ガチネバ
→アレックス同様、あれだけ毎回無茶振りされてたのにやりきったのすごい笑。記憶ほぼもってかれた笑
こう振り返ってみると、いかに私がすえちぇの配役が好きかわかるなぁと。笑
といっても2人の役者としての特性は正反対だと思っていて、顕著なのが、すえぴが感覚派、大晴が理論派なところ。末澤さんは役者としての感性が鋭くて、監督が求めているものをイメージとしてバチっとはめてくるタイプ。大晴はとにかくアドバイスを聞いて言葉で落とし込んで、具体的な形を作っていくタイプ。天才と秀才とも言えるかもしれない。
あと個人的に、主役向きなのが小島福本、脇役向きなのが佐野末澤リチャと思っている。とくにリチャ末の癖強役がとても好きで、本当に「役に化ける」のが上手い人たちだと思う。正門くんは正統派の主役か、キーマンの脇役どちらも似合うけど、個人的には脇役のインパクトが残ってる。あと晶哉に可哀想な役をさせたら一級品。発声が綺麗。こじけんはアツい人情モノかちょっと嫌味な奴が似合う。
【好きな台詞、場面】
★さのすえミュージカル/美しい人
→歌を通じて心を通わせる描写がなんとも切ないし、その後末澤の頬を伝う一筋の涙が美しすぎる。大事なのは2人の涙は台本になかったということ。
★さのすえデュエット「立つ野は一人」/鬱憤
→2人の力強い歌声は圧巻。ハモりなのに調和してないなと感じたけど、あえての不協和音と知ったとき感心したな。後ろでダンスをする他3人とリチャのサックスも良い。
★リチャ末シンクロ台詞/霊霊
→長年の付き合いを感じてしまった…息ぴったりの素晴らしい約40秒のシンクロ長台詞。0.1秒もズレないすごさ。気持ち良すぎ。
★正門本編ラスト扉しめるシーン/霊霊
→監督から正門くんに「おまかせ」されていてラストシーン。笑顔のテッテレーから一転、タダシの狂気がつまったラストに想像力が掻き立てられた。
★末澤の涙/ほなさいなら
→「こんな綺麗な涙流せる人おるんや。キムタクやん」と監督に言わしめたシーン。キムタクに憧れる人にとってこれ以上の褒め言葉ないと思う。
★「これはまだ本番である」/大暴力
→ずっと「これはまだ本番ではない」だったのがラストにして変わる。終わったと見せかけて「仲良いグループを演じるAぇの姿」こそがラストシーン(本番)なんだよね。絶妙に後味が悪くて良かった。(褒めてる)
★吉野と恭平のすれ違い芸/スタンダップ
→アンジャッシュか!というくらいの綺麗な勘違いネタは気持ちがいい
番外編
★Super Wednesday終演後
メンバーが全員泣きながら「楽しかった」と話していたのがとにかく印象的だった。ここまで終演後惜しむメンバーを見たのは初めてだった。それだけ素敵な現場だったんだろうな。稽古も笑かしあいをテーマに明るく学んでいたようだったし、画面を通しても現場のあたたかさが1番伝わってきた公演だった。内容も笑いあり涙ありの素晴らしい生徒会選挙だった。
【最後に】
これまでのグレショーの公演まとめ
Aぇ! group本当にいろんな経験をしてきたね…!
①2020.11.7〜12.12
マダムの休日/ヨーロッパ企画
②2020.12.19〜2021.1.23
アリーズ in Aぇ! ワールド/川下大洋
→6人で16役
③2021.1.30〜3.6
スタンダップ!/上田一軒
→漫才劇
④2021.3.13〜4.10
Super Wednesday/THE ROB CARLTON
→コメディ会話劇、学園モノ
⑤2021.5.8〜6.5
おしりと御飯/福田転球
→アカペラ歌喜劇
⑥2021.6.12〜7.10
→身一つでの演技
⑦2021.9.4〜10.2
一番のサンキュウ!/劇団空晴
→朗読劇、能、育児
⑧2021.10.9〜11.6
いるかボーイズ/ばぶれるりぐる
→幡多弁
⑨2021.11.13〜12.11
霊霊/劇団不労社
→ホラー&コメディ、会話劇、シンクロ台詞
⑩2022.1.22〜2.19
HAPPY ENDie/壱劇屋
→SFミステリー、パントマイム
11)2022.2.26〜4.16
WARAKASHI ~笑か師~/ザ・プラン9
→本物の漫才
12)2022.4.23〜5.28
大暴力/匿名劇団
→バイオレンス×超短編劇、生着替え40着
13)2022.6.4〜7.23
幕末/劇団そとばこまち
→時代劇、殺陣
14)2022.9.3〜10.22
美しい人/劇団とっても便利
→ミュージカル、社会派群像劇、コンテンポラリーダンス
15)2022.12.3〜2023.1.14
ほなさいなら/劇団コケコッコー
→ 下町人情喜劇
16)2023.1.28〜3.4
鬱憤/幻灯劇場
→音楽劇
17)2023.3.11〜5.13
ガチでネバーエンディングなストーリぃ!/ヨーロッパ企画(諏訪)
→4都市舞台ツアー(2022.12.9〜2023.2.2)